Rorschach ロールシャッハ(独)
概要
スイスの都市名ロールシャッハ(Rorschach)に由来。語源は古高独rōr「葦、蘆」+古高独skahho,skacho「森、藪」。
詳細
Ruodolfus de Rorscach(1222年St. Gallen)1Růdolfus de Rorscach(1275年St. Gallen)2R de Roschach(1296年St. Gallen)3
Egilolfi de Rorscah(1336年頃St. Gallen)4

地名姓。スイス、ザンクト=ガレン州ロールシャッハ行政区の都市名ロールシャッハ(Rorschach)に由来する。
Rosacum(650年頃)5
Rorscacha(850年)5
inter Rorscachun(851年)5, 6
Rorscaho(855年)5
Rorscanchin |sic|(9世紀)6
Rorscachum(907年)5
Rorscacha(947年)5
Rorskachen(982年)6
Rorscach(1210年)5
Rorschach(1212年)5
Botschach(1351年 |sic|)7
古高独rōr「葦、蘆」8(>独Rohr「管、パイプ、葦」)+古高独skahho,skacho,scahho,scacho「森、藪、(山地の前面の)前山 、山の突き出した部分、砂嘴」9よりなる。第二要素skahhoの後裔であるスイス=アレマン方言は「森の(中の)草地 (Waldwiese)、湿地の森(Auenwald)」の語義が有る為、「蘆森原、蘆藪」の様な意味を持つ。因みに、この第二要素は英語の姓や地名によく 見られる要素shaw「藪」と同語源で、日本語に入っている一般語では散髪方法のシャギー(英shaggy「毛深い」)も同語源語の形容詞形に相当。 独Wikipedia等は初出形としてRorscahun(947年)を挙げ、この形がネットで孫引きされて広がっているが、上掲の通り更に古くから記録が残っており、 綴りも誤る。初出形Rosacumと、フェルステマンが挙げる9世紀のRorscanchinの綴りは問題が有る。前者はゴール=ロマン系の所謂-(i)acum地名と 再解釈された綴りか。後者は、フェルステマンが*Rorscahchinと綴られるべきと見ており、記録時の誤記ないし誤写と思われる。
[Gottschald(1982)p.413]
◆独Rohr「蘆、パイプ、管」←中高独rōr(e)「管、柄」←古高独rōr(a)「蘆、管、棒」←ゲルマン*rausam,*rausaz(a語幹中性名詞・男性名詞)「蘆 、管、柄」(古ザクセンrōridumbil「サンカノゴイ(サギ科の鳥の一種)」,フランク*rausa「蘆」(>仏roseau「蘆」),古ノルドreyrr「蘆」 (>デンマークrør「蘆、管」),ゴートraus「蘆」)←(?)10。語源不明。一説に、PIE*er-「動く、動かす」に由来する とも言われているが、語形・意味の発達に難が有る。
1 Hermann Wartmann "Urkundenbuch der Abtei Sanct Gallen: 920-1360."(1882)p.67
2 ibid. p.199
3 ibid. p.286
4 ibid. p.824
5 wwwogs-seebach.ch/p/infoseld.php?id=5670
6 Förstemann(1872)sp.1230
7 脚注1の文献p.605
8 http://www.koeblergerhard.de/ahd/ahd_r.html
9 http://www.koeblergerhard.de/ahd/ahd_s.html
10 http://www.koeblergerhard.de/idg/idg_e.html、http://en.wiktionary.org/wiki/roseau

更新履歴:
2014年12月17日  初稿アップ
PIE語根Ror-schach:1.語源不明; 2.*skeg-「素早く動く」

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