Reaumur レオミュール(仏)
概要
地名姓。古フランス語で「王の砦」の意とされるが、疑わしい。
詳細
Davi de Riaumo(1227年Pouzauges:兵卒)1
Petro de Rialmodio(1260年Poitou:靴職人)2
Olivarius de Realmodio(1266年Reaumur)3

地名姓。 仏ペ=ド=ラ=ロワール地方(Pays de la Loire)ヴァンデー(Vendee)県、フォントネ=ル=コント(Fontenay-le-Comte)郡 プゾージュ(Pouzauges)小郡にある地名レオミュール(Reaumur)に由来する。以下に地名の歴史上の変遷を列挙する。

Rioumou(1220年頃)4
Realmodium(1266年)5
De Reamur(1318年)5
Simon Chastoigner de Riomur(1377年:人名)6
Ryaulmeur(16世紀)4
Reaulmeur(1700年代)4
Reaumur(1700年代)4

地名はONC7とネグル(Ernest Negre)8によれば、古仏real,rial, royal「王の」9(英royalと同語源)と古仏mur「壁、要塞、小さな砦」10の 合成地名としている。Reaumur村の公式HPにも同じ語源説が紹介されており、当地一帯の住人の一部は、更に訛ってこの 地名を"Riomu"「リオミュ」の様に発音するとある4
初期の形は、いずれも第二要素が古仏mur「砦」からかけ離れている。本当に古仏murに由来しているのか、かなり疑わしい。 [r]と[d]は共に口腔内の似た様な場所で調音するので、[d]から[r]に転訛はしうるが、現時点で筆者の知る限りでは、 フランス語に於いて同じ様な例を他に確認していないので、何とも言えない。然し、13世紀後半の綴りに-d-を持つ形が 3件確認されるのは、本来的に-r-の形が語源的ではない事を物語っている。-d-の形を祖形とするなら、形の上で 無理が無いのはラmodius,modium「ボワソー(仏boisseau:古い穀量単位。約12.7L)、大きな船のマストをはめ込む為の窪み」 11であるが、意味の上で難点がある。更に最初期の13世紀初頭の2件の記録Riaumoと Rioumouという形に至っては、非常に語源を突き止め難いものとなっている(これらの形は、上掲の地元人の発音「リオミュ」を 想起させる)。一般に人口に膾炙している「王の城砦」説は、最初期の記録からは支持し難い。今の所語源不明としておく。 [ONC(2002)p.519]

1 Paul Guerin "Archives historiques du Poitou. vol.1"(1872)p.99
2 同書p.73 p.73では姓がRiamoldioとあり、索引にはRialmodioとある(p.401)。後者が正しい。
3 Paul Guerin "Archives historiques du Poitou. vol.20"(1889)p.50
4 http://www.reaumur.fr/COMM_presentation.php
5 Eugene Aillery "Pouille de l'Eveche de Lucon"(1860)p.101
6 Alfred Richard"Inventaire analytique des archives du chateau de La Bare" vol.2(1868)p.307
7 ONC(2002)p.519
8 Negre vol.3(1998)p.1474
9 Godefroy vol.7 p.223
10 http://en.wiktionary.org/wiki/mur#Old_French
11 Gaffiot(1934)p.986

更新履歴:
2010年11月22日  初稿アップ
2011年1月22日 全面的に改定。というか、作りかけのファイルであったのを間違えてアップしていたのであった。 取り敢えず今回、地名の古形を出来うる限り調べた結果、従来説に疑問を抱くに至ってしまった。 フランスの地名・方言・音韻変化の歴史等にもっと詳しくならないと、今の所確実なことは何も言えない。
PIE語根:Ré-au-mu-r: 1.(?)*reg-¹「真っ直ぐ動く、導く、統べる」; 2.(?)*-lo-指小接尾辞; 3.(?)*mei-³「固定させる、垣根を作る」; 4.(?)*-ro- 形容詞・名詞形成接尾辞

Copyright(C)2010~ Malpicos, All rights reserved.