Klimt クリムト(独)
概要
ラテン語の男子名クレーメンス(Clēmens:←ラclēmens「温厚な、親切な、慈悲深い」)に由来。
詳細
Andreas Clehmet seu Ihene de Steynow Silesius(1549年Frankfurt a. O.大学(ブランデンブルク州):学生(ポーランド、 ドルヌィ・シロンスク県Ścinawa出身))1
Thomas Clemet(1558年Legnica(ポーランド、ドルヌィ・シロンスク県))2
Kaspar Klembt, sonsten Waffel genannt(1606年、ボヘミアのどっか:兵士)3
Tobias Klimetius Swibusiensis Silesius(1609年Frankfurt a. O.大学:学生(ポーランド、ルブシュ県Świebodzin出身)))4
Hinrich August Hermann Alexander Klehmet(1856年Königsberg(東プロイセン))5

父称姓。オーストリアの画家グスタフ・クリムト(Gustav Klimt:1862.7.14 Baumgarten (Wien)~1918.2.6 Wien)が有名。 ドイツ語の男子名クレーメンス(Klemens)の異形から生じた。更にラテン語の男子名クレーメンス(Clēmens)に遡り、Klimtはその対格形Clēmente(m) (>仏Clément,伊Clemente)の後裔。ラclēmens(語幹clēment-)「温厚な、親切な、慈悲深い」6が語源。 この名を持つローマ教皇が14人おり、特に1世紀の第4代教皇クレメンス1世(記念日は カトリックで11月23日)への崇敬からファーストネームとして広まった。
[Gottschald(1982)p.142, Zoder vol.1(1968)p.905, Kohlheim(2000)p.377, Bahlow(2002)p.270, Feinig(2004)p.115]
◆ラclēmens「温厚な、親切な、慈悲深い」(仏clément,伊clemente)←(?)PIE*kléi-mn̥(+動詞中動態分詞語幹形成接尾辞)←*klei-「傾く」 7, 8

印欧祖語の二重母音-ei-はラテン語では長母音īに至るので(例外的に半子音[v]の直前ではēが生じる場合有り)、上掲の様な発達は音韻的に 問題が有る。この為、英語語源辞典では疑問符付きで上説を挙げ、ワトキンズは*klei-「傾く」の項目で当該ラテン語を掲載していない。 英WiktionaryHarperのウェブ英語語源辞典はラclīnāre「傾ける、曲げる、屈める」に 分詞形成接尾辞が接続したと説明しているが、直接この動詞から派生された形式ではなく、満足のいく説明ではない。一応、意味の発達は 独neigen「傾ける」の過去分詞geneigt「(~に)好意・親愛感を持つ」が比較される。「心を傾ける」といったニュアンスから説明は出来る。 この為、後半要素をラmens「心、精神」と想定し、「心を傾ける」意と見なす説も見られる8
1 Georg Liebe, Emil Cheuner "Aeltere Universitäts-Matrikeln. vol.1 Universität Frankfurt a. O. part.1 (1506-1648)"(1887)p.109
2 Gesellschaft für deutsche Sprache "Der Sprachdienst. vol.20-21"(1976)p.9
3 "Mitteilungen. Vereins für Geschichte der Deutschen in Böhmen. vol.50"(1912)p.409
4 脚注1の文献p.541
5 "Amtsblatt der Regierung zu Frankfurt a.d. Oder: 1858."(1858)p.412
6 研究社羅和辞典p.125
7 英語語源辞典p.238
8 Walde(1910)pp.168f.

更新履歴:
2016年2月10日  初稿アップ
PIE語根Kli-mt: 1.(?)*klei-「傾ける」; 2.(?)*-mn̥ 動詞中動態分詞語幹形成接尾辞

Copyright(C)2010~ Malpicos, All rights reserved.