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Nutcombe ナットコーム
概要
地名姓。「ナッツ谷」を意味する英国に数ヶ所ある同名の地名より。
詳細
Thomas Nottecomb(1382年)1Richard Nutcomb(1524年)1Nicholas Nuttecombe(1642年)1
地名姓。以下の地名に由来する。

●ナットコーム(Nutcombe)(英国南西部/デヴォン州(Devon)/ノース・デヴォン(North Devon)州自治区/コーム・マーティン(Combe Martin)村)
Nodcomb(1330年)2
Notecombe(1473年)2

●ナットコーム(Nutcombe)(英国南西部/デヴォン州/テインブリッジ(Teignbridge)州自治区/チャドリィ(Chudleigh)町)
Notcomb(1330年)3
Nottecomb(e)(1333年)3
Nuttecomb(1430年)3

●ナットコーム・ファーム(Nutcombe Fm)(英国南西部/デヴォン州/サウス・ハムズ(South Hams)州自治区/イースト・アリントン(East Allington)村)
Notcomb(e)(1244年)4
Nuthcomb(1275)4
in locis vocatis Notecomb(1453年)5

●ナットコーム・メイナー(Nutcombe Manor)(英国南西部/デヴォン州/ミッド・デヴォン(Mid Devon)州自治区/クレイハンガー(Clayhanger(Devon))村)
John de Nuthcomb(1277年:人名)6
Notcōbe(1334年)7

●ナットコーム・ボトム(Nutcombe Bottom)(英国南東部/サリー州(Surrey)/ウェイヴァーリィ(Waverley)州自治区/ヘイズルミア(Haslemere)町)
Notcombe(1548年)8
Nutcub Bottom(1765年)8

5件とも同語源で、字義は「堅い木の実のなる林のある谷」(古英hnutu,中英nute「木の実、ナッツ」 (>英nut)+古英cumb「谷」)。[Reaney(1995)p.326]
◆古英hnutu「堅果、(胡桃・栗等の)木の実」←ゲルマン*χnutuz(u語幹女性名詞)「堅果」(古オランダnot,古ザクセン hnut,古高独(h)nuz,古ノルドhnot(デンマークnød,スウェーデンnöt,ノルウェーnut))←PIE*knud-(ゼロ階梯拡張形) ←*kneu-「堅果」(ラnux「堅果」,古アイルランドcnú「堅果」,中ブルトンknoen「堅果」)。ゲルマン、イタリック、ケルトの 3語派にしか見られない語である。PIE*ken-「押す、つねる、折る」と関係付ける説が あるが、最近の学説では否定的見解が主流のようである。ワトキンズ(Watkins)は*kneu-「堅果」までの遡及に留め、 ケーブラー(Koebler)はゲルマン*χnutuzの語源を不詳とする。バック(Buck)は PIE*kneu-をPIE*ken-の拡張形とし、*ken-には「塊、拳(コブシ)」を意味する語を派生させたと指摘している。確かに、 *ken-から派生したとされるギkóndulos「握り拳、拳骨(ゲンコツ)」という語は有る。胡桃等の堅い木の実が、拳骨の 形に似ている事からの命名と解釈しているのであろうか(説明が無い)9。ラnuxは日本語にも なっている仏nougat「ヌガー」の語源。
1 Reaney(1995)p.326
2 EPNS vol.8(1931)p.37
3 EPNS vol.8(1931)p.314
4 EPNS vol.9(1932)p.533
5 Devon and Cornwall Record Society vol.12~14(1967)p.176
6 Devonshire Association vol.30(1898)p.436
7 出典を記録したメモを紛失(泣)。
8 EPNS vol.11(1924)p.184
9 英語語源辞典p.967、Watkins(2000)p.43、Pokorny(1959)p.558、Buck(1949)p.379

執筆記録:
2010年11月22日  初稿アップ
PIE語根:Nut-combe:1.*kneu-「(胡桃・栗などの)木の実」; 2.*keu-2「曲げる;球体」

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