Ralph de Bulestrod'(1205年Surrey)
1;
Geoffrey de Bolstrode(1330年代Aylesbury)
2;
John Bulstrode(1407年)
1
地名姓。以下の地名に由来する。
Bulstrode(Engl./East/Hertfordshire/Dacorum/Bovingdon)
地名初出
Bulestrode
(1248年)
3。後、
Bolstrode(1413年)
3、
Bulstrodelane(1437年)
3。
Bulstrode Park(Engl./South East/Buckinghamshire/South Buckinghamshire/Gerrards Cross)
地名初出
Bolestrode(1195年)
4。後、
Bollestrode(1285年)
4。
いずれも字義は「雄牛の出現する茂み、牛藪」(古英bula「雄牛」+古英strōd「(低木の)茂み
」)
5。バッキンガムシャー州のブルストロードの字義を、「砦(古英burh)近くの
灌木、城藪」とする説
6
は誤りである。[Reaney(1995)p.72,ONC(2002)p.99]
◆古英bula「(去勢しない)雄牛」←ゲルマン*bul(l)ōn,*bul(l)an「雄牛」(オランダbul,古ノルド
boli「雄牛」)←PIE*bh

-(ゼロ階梯)←*bhel-「膨れる、膨張する
」(ギphallós「ペニス」,ラfollis「皮袋、袋、鞴」,古ノルドb

llr「球、陰嚢」)
7。
◆古英strōd「(低木の)茂み」←ゲルマン*strōdō「湿地」(中低独strōt「藪、灌木」、古高独struot「湿地、藪」)←?PIE*
ster-「広げる、撒く」(ゲールstrath「広い谷」,(?)古英strand「岸」)
8
語形発達の経緯が良く解らない。ポコルニーに*ster-の異形に*strē-をあげる
9。
かなり専門的な話になってしまうが、印欧祖語にかつて存在したと考えられている
喉頭音(コウトウオン)を要素に持つ接尾辞*-eH
1が語根*ster-に後続すれば、
音法則上規則的に*strē-という形は導き出せれる
10。*strē-のO階梯に拡張子がついた形から、ゲルマン
*strōdōの形は引き出せれるが、ポコルニーはゲルマン語のこの系列語を語根*ster-に溯るものと解釈していない。
PIE*sredh-「回転する、沸騰する」(ギrhópos「騒音、川の流れる音」,
中コーンウォールstreyth「川」,古高独stredan「咆える」)
11のO階梯*srodh-に
子音tの挿入されたものに由来すると見る説もある
12。
1 Reaney(1995)p.72
2 Hardy,Baildon(1907)p.11
3 EPNS.vol.15(1938)p.45
4 EPNS.vol.2(1925)p.238
5 ONC(2002)p.99
6 ONC(2002)p.99
7 英語語源辞典p.172、Watkins(2000)p.9、Pokorny(1959)3 p.120、Buck(1949)p.152ff.,p.256f.
8 Koebler GW.Afl.3 p.287
9 Pokorny(1959)p.1029ff.
10 以下を参照のこと。
11 Pokorny(1959)p.1001f.
12 Udolph(1994)p.120
執筆記録:
2010年11月22日 初稿アップ