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Barkwith バークウィズ
概要
地名姓。「Barki(人名)の農場・家屋敷」を意味する。
詳細
Robert de Barcword(1150年頃)1
Richard Barkwith(1524年Lincolnshire)1
Willemus Barkwith(1578年Alford)2
Anne Barkworth(1584年Maltby)2
Elesobeth Barkwyth(1585年South Ormsby)2

地名姓。英国中東部リンカーンシャー州、イースト・リンジー(East Lindsey)州自治区 イースト・バークウィズ(East Barkwith)村にある同名の地名より。地名の変遷は以下の通り。
Barcuurde/Bacwrde/Barcourde/Barcuorde(1086DB) 1, 2
Eudo de Barcworda(1200年頃:人名)3
Barkewurthe(1252年)5
John Barkwyth(1591年:人名)6

原義は「Barki(人名)の農場・家屋敷(古英worþ,wurþ,wyrþ)」3, 7。 バルキ(Barki)は北ゲルマン語系の男名で、古ノルドbrkr「樹皮」8 と同語源。スウェーデン語の古い渾名バルク(Bark)9(スウェーデンbark「樹皮」)の異形にBarki 9があり、直接的にはその名に因むと思われる。スウェーデンbark, 古ノルドbrkrは起源的にはゲルマン祖語のu語幹名詞だが、Barkiの場合別の語幹に改変して 男名にしているようである。英bark「樹皮」は北欧語からの借用。イタリア語の「小船」を意味するbarcaも、この北欧語から もたらされたと考えられている。barcaの指小辞女性形がbarchettaで、フィアットの車種『バルケッタ』でお馴染み。 一方、古ノルドbarki「喉、気管」10, 11に由来する男名の可能性も有ると思う(私の思いつき)。
現在の語形-withは、英中東部・北部方言の古英y/ユ/→中英i/イ/の音韻変化を示すものだろうか(この変化は開音節・閉音節 ともに起きる(英語のbusy, bury, ridge等参照)))。第二要素の-r-が脱落した原因は判然としない。私の考えでは、古ノルド viðr「森」(英woodと同語源)との連想により、要素が入れ替わったか、混淆したのではないかと思う。尚、古ノルドviðr「森」は ノース=ヨークシャー州の地名Askwithの後半要素にも見え、英国の地名要素に現れ得る。尚、語源に忠実なバークワース (Barkworth)姓も現存している2。 [Reaney(1995)p.27、surnamedb.com]

◆古ノルドbrkr(デンマーク,スウェーデンbark)←ゲルマン*barkuz(u語幹男性名詞)「樹皮」(独Borke「樹皮」) ←(?)PIE*bhorg-(О階梯拡張形:筆者による)←*bher-「切る」12。 上掲語源説も確実でない(古ノルドbarki「喉」もこの語根に遡る)。独Borkeは低地ドイツ語からの借用で、更には北欧語からの 借用であろう。従ってゲルマン語派内に他に対応語が無い事になる。他に英birch「白樺」と同語源でPIE*bherəg-「輝く」 に遡るとする説や13、PIE*bhreg-「硬直する」(サンスクリットbhraj-「堅い事」, ギphríssein,phríttein「身震いする、(毛髪が)逆立つ」)と関係付ける説14が あるが、特に最後の説はこの語根の対応語が殆ど無い上に、相互の形や意味が乖離しすぎているので、他説に比べると 説得力に乏しい。

1 Reaney(1995)p.27
2 http://www.surnamedb.com/surname.aspx?name=Barkworth
3 Jensen(1968)p.48
4 http://www.archive.org/stream/documentsillustr00stenuoft/documentsillustr00stenuoft_ djvu.txt
5 Crump et. al. vol.1(1903)p.392
6 EPNS vol.77(2001)p.81
7 ONC(2002)p.935
8 Köbler anW. B項p.36
9 http://www.vikinganswerlady.com
10 Köbler anW. B項p.3
11 de Vries "Altnordisches etymologisches Wörterbuch"vol.1 p.26
12 英語語源辞典p.100,Wahrig(1981)p.739
13 英語語源辞典p.100
14 Pokorny(1959)p.166,Köbler idgW. Bh. p.83
執筆記録:
2010年11月22日  初稿アップ
2011年1月24日  考察・論旨の推敲不足とタイプミス等を修正。一番の変更点は、古ノルドviðr「森」の影響による変化仮説を 付け加えた下り。
PIE語根:Bark-with:1.*bher-2「切る」;2. *wer-5「覆う」

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