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バーバリー Barbary
概要
「野蛮な、外国人の」を意味する女名バルバラ(Barbara)に由来。
詳細
Richard Barbary(1327年Leicestershire)1
Henrie Barbery(1606年ロンドン:証人)2

母称姓。バーバラ(Barbara)の良く用いられた方言形より。バルバラ(Barbara)はニコメディア(ギNikomēdeia) 3の処女殉教聖人(238?~306?)で、父親の反対をよそにキリスト教に改宗し、父の怒りを買って 塔に投獄された後、キリスト教からの脱会を拒んだ為、父親自身の手によって殺害され、父親はその後落雷に遭い死亡した 4。中世の修道女の模範とされた為、信仰を集めた人物であるが、実在の人物かどうかは 疑問視されている。この為、1969年に聖バルバラはカトリック教会の聖人暦から外された。建築家、石工、砲兵、鉱夫等の 守護聖人である。
人名の語源であるが、ギbárbaros「変な、外国人の、野蛮な」に由来する。この語の名詞への転用では、ギリシア語以外の言語の 話し手、特にペルシア人を指して用いられた(ギbárbaroi)。ギbárbarosは擬声語に由来しており、サンスクリット barbara-ḥ「吃音者」との関係が指摘されている。スロヴェニアbrbrati,brbljati「(水の中で)バチャバチャする」,独babbeln, pappeln「談笑する」,ラbalbus「どもり」等と関連させて、不明瞭な発音を表す擬音語根PIE*baba-を立てる説がある 5。シャントレーヌ(Pierre Chantraine)によれば、シュメールbar-bar「外国人」,バビロニア barubaru「外国人」と結びつける解釈は、アッカドbarbaruが常に「狼」を意味していることから、時代遅れの仮説だとしている 6。確かにセム祖語*barbar-「狼、ジャッカル」という語根が再建されていて、アラビアbabr-「ジャッカルの 一種」(ペルシアbabr「虎」はその借用)はその後裔とされる7。この「狼」を表す語と、前述の「外国人」を表すセム諸語との関連は 良く判らない。ギbárbaros、サンスクリットbarbara-ḥ、シュメールbar-bar、バビロニアbarubaruは同語源で借用関係に あるのか、それぞれ各自に擬音語から発生したのか判別しにくい(擬音語から発生した単語は、こうした問題が付き物)。
[Reaney(1995)p.26,ONC(2002)p.46]
1 Reaney(1995)p.26
2 http://www.surnamedb.com/Surname/Barbary
3 現在のトルコ北西部、コジャエリ県の県都イズミット(İzmit)に相当する。
4 梅田(2000)p.133、Wikipedia聖バルバラ項(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A9_(%E8%81%96%E4%BA%BA)) 、ONC(2002)p.710 各典拠の聖バルバラのエピソードに関して細かい食い違いがあり、どれが一次史料の内容に忠実なのか不明 。食い違いの一例として、梅田とONCは彼女が幽閉された原因はキリスト教への帰依だが、Wikipediaでは父親が求婚者 から愛娘を遠ざける為としている。
5 英語語源辞典p.89、Pokorny(1959)p.91-92、Boisacq(1907-16)p.114-115
6 Chantraine(1968-80)p.178
7 Starostin SemE. #1369

執筆記録:
20年2月12日  初稿アップ
PIE語根Barbary:1.(?)*baba-不明瞭な発音を表す擬音語根

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