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Bagshot バグショット
概要
①「Bacga(人名)の角地」を意味する同名の地名より。
②「*Beocc(人名)の門、隙間」を意味する同名の地名より。
詳細
同名の二か所ある地名より。それぞれ語源が違う。
①地名姓。(英国南東部/サリー州/サリー・ヒース(Surrey Heath)州自治区/バグショット行政教区)
de Bagsheta(1164年)1, 2
Bachesheta(1164年)1
Bacsete(1186年)1
Bachesheta(1195年)2
Bagsete(1210~1212年)1
Bacsiete(1212年)1
Bagseth(1218年)1
Bachesuth'(1220年頃)1
Bagschate(1221年)1
Bacshete(1272年)1
Bagshete(1125年)1
Baggeshete(1253年)2
Bagshote(1330年)1
Bagshotte(14世紀)2
Bagshot heath(1609年)1
字義は「Bacga(人名)の角地」3。男子名Bacga4の語源は良く 判らないが、音韻上は英bag「袋」の語源となった 古ノルドbaggi「袋、包み」と正確に対応している。もともと渾名から発生したものか。 第二要素は古英sċēat「角地、隅地、奥地」5(英sheet「シーツ、シート」と同根)。
第一要素を古英*bagga「穴熊」6とする解釈もあるが7、 *baggaは文証されていない単語であり、根拠薄弱である。 古ノルドbaggi「袋、包み」、中英bagge「袋」と関連し、「袋状に奥まった土地」の意味とも解釈できる8。 ジョンストンは「Bacga(人名)の角地」以外に、「森を貫いている空き地(glade through a wood)」を意味するとの 説を挙げている9が、どのような根拠があるのか良く判らない。


Adam de Bukesyate(13世紀)10Richard de Bukesgate(1339年)11

②地名姓。(英国南西部/ウィルトシャー(Wiltshire)州/ウィルトシャー州自治区/シャルバーン(Shalbourne)行政教区)
Bechesgete(1086年DB)12, 16
Bechesieta(1130年)12
Bugesgate(12世紀)13
Bekesgate(1289年)12
Bockesgate(1339年)12
Bokesyate(13世紀)13
Boghkesgate(14世紀)12
字義は「*Beocc(人名)の門、隙間」14。人名ベーオック(*Beocc)は古英の男子名ベーオッカ (Beocca)15の確認されていない異形16と思われる。 古英bēocare「養蜂家」の動作主派生名詞形成語尾-are(<ラ-ārius)の付いていない形*bēocaからか。 *bēocaは古英bēo,bēo「蜜蜂」(>英bee)に指称辞-(e)caが付いたものであろう。古英bēocareの派生過程は、 古高独imbi「蜜蜂」から生じた独Imker「養蜂家」のそれに酷似している。 第一要素を古英bēċe「ブナの木」(>英beech)と解釈する説もあるが17、bēċeは弱変化名詞で あるから上掲の古名に確認される-s-の強変化属格形に合致しない為、疑わしい説である。 第二要素は古英ġeat,ġæt「門、割れ目」(>英gate,Yate(地名),Yeats(姓))。

1 EPNS vol.11(1934)p.153
2 http://www.bagshotvillage.org.uk/bagshot/name.shtml
3 Copley(1971)p.121
4 Searle(1969)p.78 発音は多分「バッガ」。cf.英dog「犬」<後期古英docga
5 英語語源辞典p.1610
6 Reaney(1995)p.23
7 ONC(2002)p.925、Copley(1971)p.121
8 EPNS vol.30(1963)p.326
9 Johnston(1916)p.122
10 Great Britain. Public Record Office:Calendar of the Charter Rolls: Henry III-Edward I. A.D. 1257-1300 (1972)p.229
11 Great Britain. Public Record Office:Calendar of the Patent Rolls Preserved in the Public Record Office: 1292-1301(1971)p.99
12 EPNS vol.16(1924)p.354
13 http://www.british-history.ac.uk/report.aspx?compid=62705
14 ONC(2002)p.925
15 Searle(1969)p.87 9世紀後半から10世紀に掛け、この名を持つ5人の人物が確認されている。
16 Beoccaは語尾-aが示す様にn語幹男性名詞であるが、*Beoccは強変化タイプに改変されたものと見られる。
17 G.W. B. Huntingford:Berkshire Place-Names p.16

執筆記録:
2010年11月22日  初稿アップ
PIE語根:①Bag-shot:1.語根不詳;2. *skeud-「撃つ、投げる」:②Ba-g-s-hot:1.*bhei-「蜜蜂」;2.(?)*-ko-形容詞形成接尾辞;3.*-es-属格語尾;4. *ghed-「穴」

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