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Bagnold バグノールド
概要
地名姓。バグノール(Bagnall)という地名より。意味は「バデカ(Badeca)、或いはバガ(Baga)(いずれも人名)の隅地、或いは森、 広間」のいずれかと思われるが、特定不能である。
詳細
William de Bagenholt(1299年)1John Bagenelle(1379年)1

地名姓。バグノール(Bagnall)(英国中西部/スタッフォードシャー州/スタッフォードシャー・ムーアランド (Staffordshire Moorlands)州自治区/バグノール行政教区)という地名に由来する。地名の歴史的綴りの変遷は 以下の通り(上掲姓の古い綴りも参照)。
Baginholt(1271年)2
Badegenhall(1273年)2
姓の古形も含めて地名の古い綴りのブレが激しい為、容易には語源を特定しがたい。 ONCは「Badeca(人名)の隅地・角地(古英halh)、或いは森(古英holt)」の意とする3。 バデカ(Badeca)4は古英b(e)adu「戦い」に古英-eca(指称辞:cogn.古高独-ico)が 付いて生じた名前である(cf.バドック(Baddock))。ハリソンは原義を「Baga(人名)の広間(古英h(e)all)、或いは隅地・坂(古英h(e)alh)」とする 5。バガ(Baga)6は恐らく古高独の男子名バゴ(Bago) 7と同語源で、後者の語源となった古高独bāgēn「争う」8、 或いは古高独bāg「争い、喧嘩好き」9の古期英語相当語(記録に無い)に由来するものと思われる。 ザンデルフォールトは地名の祖形を*Badecan-holt或いは*Badecan-hallとし、第一要素を 古英bedecian「物乞いをする、請う」10(英bid「命じる、招く」と同根)と関係付ける 11。 [Reaney(1995)p.23,Harrison(1912-1918)p.17]

◆古高独bāg「争い、喧嘩好き」←ゲルマン*bēgaz,*bægaz(æはマクロン)(a語幹男性名詞)「争い」(古ザクセンbāg「賞賛、自慢」, 古ノルドbāg「賞賛」)←PIE*bhēgh-o-s←*bhēgh-「争う」(古アイルランドbāgaid「(彼は)争う、自慢する、脅す」,中アイルランド bāgach「戦争の」,ラトヴィアbuôztiês「腹を立てる」,露bazel「大声で叫ぶこと」,トカラA pkänt「障害」) 12

1 Reaney(1995)p.23
2 Zandervoort(1936)p.66
3 ONC(2002)p.925
4 Searle(1969)p.79
5 Harrison(1912-1918)p.17
6 Searle(1969)p.79
7 Gottschald(1982)p.97
8 Köbler ahd. W. B項p.2
9 Köbler idg. W. Bh項p.11f.
10 Köbler aeng. W. B項p.13
11 Zandervoort(1936)p.66 この解釈は、多分動詞bedecian「物乞いをする」から派生した 渾名*Bedecja(多分「物乞い」の意?)を語源とする発想なのだと推察される( 但し、渾名*Bedecjaは文法に乗っ取ってワタクシ筆者がでっち上げた語形で、歴史上確認されている名前ではありません)。 然し、この説で難点なのは第一母音が合わない点で、男名Badeca起源説の方が文証されている人名を基礎としている 上からでも有利といえる。
12 Köbler idg. W. Bh項p.11f.、Pokorny(1959)p.115

執筆記録:
2010年11月22日  初稿アップ
PIE語根:Ba-g-n-old:1.*bhedh-「指す、掘る」;2.(?)*-(i)ko- 形容詞形成接尾辞; 3.*-en-名詞・形容詞形成語尾;4.*kel-1「打つ、切る」、或いは*kel-2「覆う、隠す」; 或いはBag-の部分で*bhēgh-「争う」

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