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Immermann インマーマン
概要
①イマー(Immer)という地名に因む姓。
②「イングウィオ神+誉れ」を意味する古いドイツ人男名に因む姓。
③「全体の、大きい+軍団」を意味する古いドイツ人男名に因む姓。
④イマート(Immert)というドイツの地名より。
詳細
①地名姓。ドイツ北西部ニーダザクセン州の大都市オルデンブルク(Oldenburg)市内にある地名イマ-(Immer)に因む。 [Bahlow(2002)p.244,Kohlheim(2000)p.344,Naumann(2007)p.147] 

②父称姓。古いドイツ人男名Ing(o)marが変形した形に父称語尾としての-mann「人」を付して生じた姓。Ingomarは、古高独 Ing(wio)「イングウィオ神」8と古高独māri「誉れ」9の 合成による名で、今でもこの綴りのままドイツで使われている。 [Gottschald(1982)p.270] 

③父称姓。古いドイツ人男名Irminher(e)10が変形した形に父称語尾としての-mann「人」を付して生じた姓。Irminherは、古高独 irmīn11と古高独hari,heri「軍団」12の合成による名。古高独irmīnは古高独 irmindeot「民族全体」11、古高独irmingot「部族神」11 などの複合語にも見られ(いずれも用例は一回)、「大きい、偉大な、強力な、全体の」の意味が有る。また、 この語はゲルマン民族の神イルミノネス(Irminones)を表す場合もあった。cf.エメリッヒ(Emmerich) [Gottschald(1982)p.270] 
④地名姓。地名イマート(Immert)(Rhl.-Pf./Bernkastel-Wittlich郡/Thalfang am Erbeskopf(Verbandsgemeinde)市町村)に 由来する。地名の古形・由来は確認できなかった。[Naumann(2007)p.147]
◆古高独irmīn「大きい、偉大な、強力な、全体の」←ゲルマン*ermanaz, *ermenaz,*irmanaz「大きい、高尚な、巨大な」( 古英eormen-,iermen-「大きい、巨大な」,古ザクセンErminold, Irmingerd(人名), 古ノルドjrmungandr「ミドガルズオルム」, jrmungrund「大地」,ゴートErmanaricus, Erminagildus(人名))←?。語源不明1 3
◆中高独man「人、男、夫、息子、家人(ケニン)」←古高独man「人、男、兵士、従者」←ゲルマン*mannaz(a語幹男性名詞)「人、男」 (古英man(n),mon(n)「人、男、英雄、召使」,古フリジアman(n),mon(n ),ma,me「人、男」,古ザクセンman(n)「人、男、若者」, 古ノルドmaðr,mannr「人、男」,ゴートmanna「人、男」)←?。語源は明らかでないが、PIE*man-「人」(古教会スラヴ mžĭ「人」,サンスクリットmanu「人」)由来説 14と、PIE*men-「考える」(cogn.英mind,mental)由来説15が 有力である。
1 英語語源辞典p.14
7 Pokorny(1959)p.293
7 Förstemann(1966)p.963
8 Kohlheim(2000)p.761
9 Köbler AHDW M p.25,Kohlheim(2000)p.762
10 Förstemann(1966)p.480
11 Köbler AHDW I p.77
12 Köbler AHDW H p.63, Wahrig(1981)p.1735
13 Köbler gmW E
14 Watkins(2000)p.51,Pokorny(1959)p.700,Chernykh(1994)vol.1 p.547
15 英語語源辞典p.849,風間(1987)p.63f.,Buck(1949)p.79f.,Wahrig(1981)p.2457

執筆記録:
2010年11月22日  初稿アップ
PIE語根:①Immer-mann:1.語源不明;2.(?)*man-1「人」又は(?)*men-1 「考える」
:②Im-mer-mann:1.*engw-「鼠蹊部」;2.*mē- 3「大きい」;3.(?)*man-1「人」又は(?)*men- 2「考える」
:③Imm-er-mann:1.語源不明;2. *koro-「戦争」;3.(?)*man-1「人」又は(?)*men-1「考える」

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