父称姓。ラEugeniusを経て、ギリシア語の男名Eugéniosに遡るドイツ人男名オイゲン(Eugen)より。ギEugéniosは
形容詞ギeugen

s「良い生まれの、高貴な」の派生語。ラテン語形のEugeniusは
初期のキリスト教の聖人の名に幾人か見られる。著名な人物では5世紀のカルタゴ司教、7世紀のトレド司教、
四人のローマ教皇がいる。この姓は、手持ちのドイツ人の苗字本には記載が無い。
◆ギeugenēs←ギeû「良い」(←ギeús「良い、高貴な」(母音間の-s-が消失)←PIE*esu-「良い」)+ギgénos「生まれ」(←ギgennân「生む、生まれる」
←PIE*gen(ə)-「生む」)
1。母音間の-s-はギリシア語で消失することが多い(ギeús←*esu-)。
この「良い」を意味する印欧語は、ユーフラテス(Euphrates)川やインドネシアの政治家スカルノ(Sukarno)、スハルト
(Suharto)、チンギス=ハンの武将スブタイ(Sübütei)の名の第一要素にも現れており(後者の3例はサンスクリットからの借用)、
祖語の動詞*es-「存在する、~である」(=英is)に接尾辞が付いて生じたものと考えられている(Watkins(2000)p.24)。
1 英語語源辞典p.454
執筆記録:
2011年1月23日 初稿アップ